
交通事故に遭ったあと、
「事故直後は特に痛くなかったのに、数時間後から首が痛くなってきた」
「翌日になって腰の痛みが強くなった」
「事故の直後は大丈夫だと思っていたけれど、仕事をしていたら痛みが出てきた」
このようなご相談を受けることがあります。
交通事故では、身体に大きな衝撃が加わるため、その直後には症状がはっきりしなくても、時間が経ってから痛みや動かしにくさを感じることがあります。
今回は、交通事故後に遅れて痛みが出てくるケースについて解説します。
交通事故ではどのような症状が出る?
交通事故後には、首や腰などにさまざまな症状が出ることがあります。
例えば、
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首を後ろに倒すと痛い
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首を左右に動かすと痛い
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起き上がるときに首や腰が痛い
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腰を反らすと痛い
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仕事中や家事をしていると痛みが出る
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物を持ち上げると首や腰が痛い
といった症状です。
特に、追突などによって首が急激に前後へ動かされると、首周辺に負担がかかることがあります。こうした交通事故後の首の痛みなどは、むち打ち(むち打ち関連障害)として扱われることがあります。
研究では、むち打ち後に首の痛みや頭痛が生じることは比較的多く、症状が一定期間続く方もいることが報告されています。システマティックレビュー・メタ解析では、受傷後7日以内に首の痛みを訴えた割合は約84%、頭痛は約60%と報告されています。

なぜ事故直後は痛くないのに、後から痛くなるの?
「事故直後は何ともなかったのに、翌日になって痛くなった」という経験をすると、不安になる方も多いと思います。
しかし、事故直後に痛みがなかったからといって、身体に何も負担がかかっていなかったとは限りません。
事故後には、身体の状態だけでなく、事故による緊張や精神的な負担なども関係する可能性があります。
また、事故後しばらくして普段の生活に戻り、首や腰を動かしたり、仕事や家事をしたりすることで、痛みを自覚するようになることも考えられます。
そのため、
「事故直後は痛くなかったから大丈夫」
と自己判断するのではなく、後から痛みや動かしにくさが出てきた場合には、一度状態を確認することが大切です。
なお、「後から痛くなった=炎症が後から強くなった」と一つの原因だけで説明することはできません。筋肉や関節などの身体的要因、神経症状、心理的な要因など、複数の要素が関係する場合があります。
当院では何を確認する?
当院では、交通事故後に首や腰の痛みがある場合、まず現在の症状について詳しくお話を伺います。
例えば、
「いつから痛みが出たのか」
「どの動作で痛むのか」
「痛みの場所はどこなのか」
「事故直後と現在で症状がどう変化したのか」
などを確認します。
そのうえで、首や腰の可動域、動作による症状の変化、神経症状の有無などを確認していきます。
交通事故後の首の痛みでは、首の動きや症状の程度などを確認しながら状態を評価することが重要です。
また、研究では、むち打ち後の経過をみる際に、初期の痛みの強さなどがその後の回復に関係する可能性も報告されています。
症状が変化したら、もう一度評価することが大切
交通事故後の症状は、時間の経過によって変化することがあります。
最初は首を動かすと少し痛い程度だったものが、数日後には仕事や家事で痛みが強くなったり、逆に徐々に症状が落ち着いてきたりすることもあります。
そのため、初回の評価だけで判断するのではなく、症状が変化した場合には再評価することが大切です。
当院でも、症状の経過を確認しながら、その時点での首や腰の動き、痛み、神経症状などを改めて確認します。
交通事故後は「安静にしていればいい」とは限りません
事故後の首の痛みについては、症状や状態を確認しながら、適切に身体を動かしていくことが重要とされています。
むち打ち関連障害についての臨床ガイドラインでも、重大な病気や構造的な問題を除外したうえで、状態に応じた運動や活動を維持することが推奨されています。
ただし、交通事故後のすべての症状に運動が適しているわけではありません。
強い痛みやしびれ、筋力低下などの神経症状がある場合や、症状が悪化している場合には、まず医療機関での評価を受けることが大切です。
交通事故後の痛みをそのままにしないでください
交通事故後、
「最初は痛くなかったから大丈夫」
「少し痛いだけだから、そのうち治るだろう」
と我慢してしまう方もいます。
しかし、時間が経ってから痛みが出たり、症状が変化したりすることもあります。
特に、痛みが強くなっている、しびれが出てきた、力が入りにくい、動かしにくさが悪化しているなどの場合は、早めに医療機関へ相談してください。
交通事故後の身体の変化を確認しながら、必要に応じて医療機関と連携して対応していくことが大切です。
現場スタッフから伝えたいこと
交通事故後の患者様から、
「事故の直後は痛くなかったのに、後から痛くなってきた」
という話を伺うことは少なくありません。
交通事故では身体に大きな負担がかかるため、事故直後の状態だけで、その後の経過を判断することはできません。
だからこそ、痛みが後から出てきた場合も「気のせい」と考えず、一度専門家に相談していただきたいと考えています。
また、症状が変化したときには、その変化を伝えていただくことも大切です。
当院では、その時点のお身体の状態を確認しながら、必要な対応をご案内しています。
まとめ
交通事故後は、事故直後に痛みがなくても、時間が経ってから首や腰などに症状が出ることがあります。
大切なのは、
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事故直後に痛みがなくても、後から症状が出ることがある
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痛みの原因は一つとは限らない
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首や腰の動き、神経症状などを確認することが大切
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症状が変化した場合は再評価する
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強い痛みやしびれ、筋力低下などがある場合は医療機関へ相談する
ということです。
交通事故後に「最初は大丈夫だったのに、少し時間が経つと首や腰が痛くなってきた」という方は、無理に我慢せず、一度専門家にご相談ください。
【この記事の執筆者】
田所(たどころ)
<所有資格>
柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、睡眠健康指導士
参考文献
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(2)Côté, Pierre et al. “Management of neck pain and associated disorders: A clinical practice guideline from the Ontario Protocol for Traffic Injury Management (OPTIMa) Collaboration.” European spine journal : official publication of the European Spine Society, the European Spinal Deformity Society, and the European Section of the Cervical Spine Research Society vol. 25,7 (2016): 2000-22. doi:10.1007/s00586-016-4467-7
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26984876/
(3)Al-Khazali, Haidar Muhsen et al. “Neck pain and headache after whiplash injury: a systematic review and meta-analysis.” Pain vol. 161,5 (2020): 880-888. doi:10.1097/j.pain.0000000000001805
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(4)Walton, David M et al. “Risk factors for persistent problems following whiplash injury: results of a systematic review and meta-analysis.” The Journal of orthopaedic and sports physical therapy vol. 39,5 (2009): 334-50. doi:10.2519/jospt.2009.2765
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