
交通事故に遭った後、
「事故の場面を何度も思い出してしまう」
「事故現場を通るのが怖い」
「車を運転するのが怖くなった」
「事故を思い出すと不安になる」
「眠りにつきにくい」
「集中しにくくなった」
このような変化を感じる方がいます。
交通事故は身体だけでなく、心にも大きな負担がかかる出来事です。今回は、交通事故後にみられるPTSDについて、当院で患者様から伺うことの多い症状を中心に解説します。
交通事故後のPTSDとは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強い外傷体験の後に、その出来事を繰り返し思い出す、事故を連想させる場所や状況を避ける、強い警戒心が続くなどの症状がみられる精神疾患です。
代表的な症状には、事故場面のフラッシュバックや悪夢などの「再体験」、事故を思い出させる場所や運転などを避ける「回避」、眠れない・集中できない・常に周囲を警戒してしまうといった「過覚醒」があります。
ただし、交通事故後にこのような症状が出たからといって、すぐにPTSDと診断されるわけではありません。PTSDの診断には、症状が1か月以上続いていることや、日常生活に支障をきたしていることなど、いくつかの条件があります。事故直後から1か月以内の場合には、急性ストレス障害(ASD)などが考えられる場合もあります。
当院で患者様から伺うことの多い症状
交通事故後の患者様からは、
「事故の場面を何度も思い出してしまう」
「車に乗るのが少し怖くなった」
「事故現場を通ると事故を思い出す」
「運転中に周囲を強く警戒してしまう」
といったお悩みを伺うことがあります。
特に事故場面を繰り返し思い出す「フラッシュバック」は、本人にとって大きなストレスになることがあります。
また、眠りにつきにくい、集中しづらい、常に危険がないか気になってしまうなどの症状が日常生活に影響することもあります。
時間とともに落ち着いていく場合もあります
交通事故後には、事故の恐怖や緊張がしばらく続くことがあります。
その後、時間の経過とともに症状が落ち着いていく方もいます。一方で、一部の方では症状が長く続き、運転や仕事、外出など日常生活に影響することがあります。
そのため、「事故後だから仕方がない」と我慢し続ける必要はありません。
交通事故後の心理的ストレスについては、実際に研究でも報告されており、早期の心理的介入についても研究が行われています。交通事故後のPTSDなどに対しては、心理療法の有効性が検討されており、特にトラウマに焦点を当てた認知行動療法などについて研究があります。
当院でできること
当院では、交通事故後に身体の痛みや筋肉の緊張が残っている方に対して、状態を確認したうえで、マッサージやストレッチなどの施術を行っています。
事故後は身体の痛みだけでなく、緊張や不安から身体に力が入りやすくなっている方もいます。
そのため、身体をリラックスさせることを目的としたケアを行い、少しでも安心して日常生活を送れるようサポートしていきます。
ただし、PTSDそのものの診断や専門的な心理療法を接骨院で行うものではありません。
フラッシュバックや強い不安、睡眠障害、運転への強い恐怖などが長く続き、生活に支障が出ている場合には、心療内科・精神科などの専門機関への相談も大切です。
「運転が怖い」と感じるのはおかしいことではありません
交通事故は、自分だけでは防ぎきれない状況で起こることもあります。
そのため、事故後に「また事故に遭ったらどうしよう」「車に乗るのが怖い」と感じることは、決して珍しいことではありません。
特に車が生活の一部になっている方にとって、運転できないことは仕事や買い物、家族との外出などにも影響します。
だからこそ、無理に我慢するのではなく、自分の状態に合わせて少しずつ安心できる環境を作っていくことが大切です。
交通事故後に身体の痛みだけでなく、「事故を思い出してしまう」「車に乗るのが怖い」「常に緊張している」と感じている方は、一人で抱え込まず、必要に応じて専門機関へ相談してください。
当院でも、身体の痛みや筋肉の緊張などについてお身体を見させていただき、必要に応じて適切な医療機関への相談をおすすめしています。
まとめ
交通事故後には、身体の痛みだけでなく、フラッシュバック、事故現場の回避、運転への恐怖、睡眠や集中の問題など、さまざまな心理的反応が起こることがあります。
多くは時間とともに落ち着いていく場合がありますが、症状が長く続いたり、日常生活に大きな支障が出たりする場合は、専門機関へ相談することが大切です。
身体の痛みや緊張については、接骨院でサポートできることもあります。
交通事故後のお身体の不調や不安についてお悩みの方は、無理に我慢せず、一度ご相談ください。
【この記事の執筆者】
田所(たどころ)
<所有資格>
柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、睡眠健康指導士
参考文献
(1)National Center for PTSD. PTSD and DSM-5.
Available at:https://www.ptsd.va.gov/professional/treat/essentials/dsm5_ptsd.asp
(2)Guest, Rebecca et al. “Psychological distress following a motor vehicle crash: A systematic review of preventative interventions.” Injury vol. 47,11 (2016): 2415-2423. doi:10.1016/j.injury.2016.09.006
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27616005/
(3)Hoppen, Thole H et al. “The efficacy and acceptability of psychological interventions for adult PTSD: A network and pairwise meta-analysis of randomized controlled trials.” Journal of consulting and clinical psychology vol. 91,8 (2023): 445-461. doi:10.1037/ccp0000809
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37141033/
(4)Grant, Sean et al. “Acupuncture for the Treatment of Adults with Posttraumatic Stress Disorder: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Journal of trauma & dissociation : the official journal of the International Society for the Study of Dissociation (ISSD) vol. 19,1 (2018): 39-58. doi:10.1080/15299732.2017.1289493
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28151093/























