
専門家が解説!
科学に基づく野球肘対策と信頼できる健康アドバイス!
甲子園での熱闘も記憶に新しい中ですが、全国各地で春の選抜に向けて地区大会が始まっていますね。
大会での連戦連投が続くと確実に疲労は溜まります。
そんな中増えてくる怪我は野球肘です。球数制限などが設けられていることが多いですが、当院でも高校1年生のピッチャーが肘を痛めて来院するケースや肘が痛くても投げ続けているケースは多いです。
今回は野球肘について解説します。
ピッチャーだけでなく野手やバドミントン、バレーボールなどオーバーハンドスポーツでも起きる可能性があるので、スポーツをしている方はぜひご覧ください。
1️⃣ 「野球肘」はなぜ起こる?
野球をしていると、「肘の内側が痛い」「投げると肘が痛む」といった症状が起こることがあります。
特に投球動作では、肘の内側に大きな力が繰り返しかかるため、投球数の増加や疲労、投球フォーム、肩の動きなど、さまざまな要因が重なることで野球肘につながると考えられています。
実際、野球投手の肘障害について調べたシステマティックレビューでは、肘の障害は年齢を問わず発生しており、特に成長期の選手では注意が必要であることが示されています。
成長期の選手に多い理由は、成長軟骨という構造的に弱い部分があること、骨と筋肉の成長速度が同じではないためアンバランスが生じてしまうことなどがあります。
2️⃣ 科学に基づく野球肘の対策

野球肘を予防するためには、「痛くなった肘だけをケアする」のではなく、投球量・疲労・身体の使い方を総合的に管理することが重要です。(2)
🔍 Introduction | 論文の概要 —
Tripletらは、野球の投球動作において、どのような身体的・動作的要因が肘へのストレスを増加させるのかを調べたシステマティックレビューを行いました。
973本の論文をスクリーニングし、最終的に21研究を対象として分析しています。
その結果投球フォーム 、投球数 、疲労 、肩関節の動き 、腕の位置、投球速度 、投球の種類
などが肘へのストレスに関係することが示されています。
🔬 How We Researched | 研究の進め方 —
この研究では、野球の投球動作によって肘にどのようなストレスが加わるのかを明らかにするため、PubMed、CINAHL、Cochrane Libraryから過去の研究を検索しました。抽出された論文を2名の研究者が確認し、野球選手の投球動作と肘へのストレスをバイオメカニクス的に評価した研究を選定しました。最終的に21本の研究を対象として、投球フォーム、肩の動き、球種、球速、投球数、疲労などが肘へのストレスに与える影響を整理しました。
📊 Key Findings | 研究が示したこと —
野球肘は「投げすぎ」だけで起こるものではないことが分かります。
投球数や休養不足に加えて、疲労した状態での投球、投球フォーム、肩の可動性、身体の使い方など、複数の要因が重なることで肘への負担が増加します。
つまり、「肘に負担がかかる → 回復する前にまた投げる → 疲労が蓄積する → 肘へのストレスが増える」という状態を繰り返さないことが重要です。
💡 The Science Behind It | メカニズムを解説 —
✅投球時に肘の内側へ大きなストレスがかかる
投球では、腕を大きく振りながら肘を伸ばしていくため、肘には外側へ開こうとする力(外反ストレス)が発生します。
特に投球の後半である「レイトコッキング~加速期」では、肘の内側に大きな負担がかかります。
このとき、肘の内側にある内側側副靱帯(UCL)などが肘を安定させています。
繰り返し強いストレスが加わることで、肘の内側の組織に負担が蓄積していきます。
✅疲労すると肘への負担が増える
投球を続けて筋肉が疲労すると、投球フォームや身体の動きが変化する可能性があります。
高校生・大学生投手を対象に90球を投げさせた研究では、3イニングを超えたあたりから肘の内側にかかるトルクが増加し、1イニングごとに約0.84Nm増加したと報告されています。
つまり、
疲れてフォームが崩れる
↓
肘にかかる力が増える
↓
肘へのストレスが蓄積する
という悪循環につながる可能性があります。
そのため、単純に「何球投げたか」だけではなく、疲労した状態で投げ続けていないかを見ることも重要です。
✅肩や体幹の動きも肘への負担に関係する
野球肘という名前から、「肘だけの問題」と考えてしまいがちです。
しかし、投球動作は、下半身 → 骨盤 → 体幹 → 肩 → 肘 → 手へと力を伝える全身運動です。
Tripletらのレビューでは、肩の回旋可動域や体幹の動き、投球フォームなどが肘のトルクに影響することが報告されています。
そのため、野球肘の予防では、「肘を鍛える」だけではなく、肩・体幹・下半身を含めた身体全体の動きを確認することが重要になります。
これらのメカニズムにより、特に肘の内側に投球ストレスが蓄積することで発生しやすくなる可能性があります。
3️⃣ 専門家からのアドバイス

野球肘を予防するためにどんなことを行えばよいか具体的に、実践しやすい方法を3つご紹介いたします。
1, 投球量を管理する
まず重要なのが投げすぎを避けることです。
特に成長期の選手では練習だけでなく、
・試合
・自主練習
・他チームでの活動
・投手以外のポジションでの送球
なども含めて、1週間・1か月・シーズン全体でどのくらい投げているのかを考える必要があります。
1試合でのピッチャーでの投球目安は7~8歳は50球、9~10歳は75球、11~12歳は85球、13~16歳は95球、17~18歳は105球ぐらいですが、アップやブルペンも含めると7~8歳でも100球以上は投げていることが多いです。
そのため「試合の投球数だけを管理すれば大丈夫」とは限りません。
2, 疲労した状態で投げ続けない
投球を続けて、
・球速が落ちてきた
・コントロールが悪くなった
・フォームが崩れてきた
・肩や肘が重い
・肘に違和感がある
といった変化が出ている場合には注意が必要です。
研究では、疲労と肘へのストレスとの関連が報告されているため、「痛くなるまで投げる」のではなく、疲労が強くなる前に休むことが重要です。
3, 肩・体幹・下半身もチェックする
野球肘の予防では、肘だけを評価するのではなく、
肩の可動域+体幹の安定性+骨盤・股関節の動き+下半身の筋力+投球フォームを総合的に確認することが重要です。
特に、投球動作で身体の各部位がうまく連動しない場合、肘が過剰に仕事をする可能性があります。
4️⃣ 健康な毎日への第一歩
野球肘の予防で重要なのは、投球量を適切に管理する、疲労した状態で投げ続けない、肘だけではなく肩・体幹・下半身を含めて身体を評価する、投球フォームや身体の使い方を確認する、肘に痛みや違和感がある場合は早めに対応するということです。
野球肘は、単純に「投げすぎ」だけが原因ではありません。
投球量・疲労・身体機能・投球フォームなど、複数の要因が重なって肘への負担が増えることが重要です。
当院の患者様でも痛みがなくなって投球を再開し、また同じところを痛めて戻ってくる患者様もいらっしゃいます。
痛みが戻ってしまう患者様は、動かなければならない関節が動いておらず、肘の負担が減らないため、同じところを痛めてしまいます。
そのため、野球肘の予防では「痛くなった肘をケアする」という考え方だけではなく、肘に負担が集中しない身体の使い方を身につけ、投球量と休養を適切に管理することが大切です。
今後も、科学的な研究結果を基に、信頼性の高い情報をお届けしてまいります。
野球肘でお困りの方は、ぜひ横須賀市の 「かもい名倉堂接骨院」「よこすか名倉堂整骨院」 へご相談ください。
引用文献
(1)Grant, Chris et al. “Incidence and risk factors for musculoskeletal disorders of the elbow in baseball pitchers: a systematic review of the literature.” The Journal of the Canadian Chiropractic Association vol. 64,3 (2020): 165-179.
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33487638/
(2)Triplet, Jacob J et al. “Factors that Increase Elbow Stress in the Throwing Athlete: a Systematic Review of Biomechanical and Motion Analysis Studies of Baseball Pitching and Throwing.” Current reviews in musculoskeletal medicine vol. 16,4 (2023): 115-122. doi:10.1007/s12178-022-09800-4
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36572821/
(3)Sgroi, Terrance et al. “Throwing Injuries and Prevention Strategies in Youth Baseball.” HSS journal : the musculoskeletal journal of Hospital for Special Surgery vol. 20,3 (2024): 341-345. doi:10.1177/15563316241249139
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39108454/
店舗名
【浦賀院】かもい名倉堂接骨院
住所
神奈川県横須賀市鴨居2-20-8
電話番号
tel:046-844-1770
【横須賀中央院】よこすか名倉堂整骨院
住所
神奈川県横須賀市安浦町1-1冨田ビル1F
電話番号
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