専門家が解説!
科学に基づくオスグッド対策と信頼できる健康アドバイス!
成長期のお子さんが膝のお皿の下を押すと痛がったり、運動後に膝下が腫れているのを見たことはありませんか?
これは「オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter disease)」と呼ばれ、特にスポーツを頑張る小中学生によくみられる成長期特有の障害です。
柔道整復師として現場で多くのジュニアアスリートを診ていますが、この症状は放置すると長引くことが多く、適切な対応が必要です。今回は、科学的根拠に基づき、原因から治療方法までわかりやすく解説します。
1️⃣ オスグッド病とは?
オスグッド病は、膝蓋靭帯が付着する脛骨粗面(スネの骨の出っ張り部分)に繰り返し牽引ストレスがかかることで発生する成長期障害です。
成長期の骨はまだ軟骨成分が多く、強い引っ張り力に弱いため、炎症や微小な剥離が起こります。
2️⃣ 科学に基づくオスグッドの対策
🔍 Introduction | 論文の概要 —
Circiら(2017年)の研究は、オスグッド・シュラッター病の病態生理と発症リスクに関する既存文献の総合レビューです。
特に、「なぜ成長期にオスグッド病が発生しやすいのか」という点を、骨・腱・筋の成長の不均衡という観点から詳細に分析しています。
一方、Nakaseら(2015年)は、日本人ジュニアアスリートを対象に、ストレッチ・運動療法・練習調整の効果を臨床的に検証した研究です。
大腿四頭筋の柔軟性とオスグッド病発症の関連性に注目しています。
🔬 How We Researched | 研究の進め方 —
Circiらの研究方法(2017)
PubMed等の医療論文データベースから過去20年分の関連論文を検索・精査し、成長期障害としてのオスグッド病における発症メカニズム、解剖学的変化、臨床的特徴について系統的レビューを実施。
Nakaseらの研究方法(2015)
発症リスクのあるジュニアアスリート計122名を対象に、大腿四頭筋の柔軟性・身体組成・練習内容を評価。
さらに、治療介入として「ストレッチ+運動制限」群と「安静のみ」群に分けて経過を観察。
症状の変化はVAS(痛みの評価尺度)や脛骨粗面の状態で判断。
📊 Key Findings | 研究が示したこと —
Circiら(2017)の示したこと:
- 成長期の骨端線(成長板)は未成熟なため、牽引ストレスに非常に弱い
- 特にスポーツでの繰り返しジャンプやダッシュが、膝蓋腱と脛骨粗面の接合部にストレスを集中させる
- 大腿四頭筋の緊張と筋力のアンバランスが、オスグッド病発症の主因である
Nakaseら(2015)の示したこと:
- 大腿四頭筋の柔軟性が低い選手ほど、オスグッド病を発症しやすい
- ストレッチ+運動制限を行ったグループは、症状軽減が有意に早かった
- 体幹・股関節の強化も膝関節への負担を軽減する要因として有効
💡 The Science Behind It | メカニズムを解説 —
✅ 成長期は骨が先に成長し、筋・腱の柔軟性が追いつかない状態になりやすい。この不均衡の中で、ジャンプ・ダッシュ・蹴り動作により、大腿四頭筋が膝蓋腱を通じて脛骨粗面を強く引っ張る。結果として、脛骨粗面に微細な炎症や骨の剥離(剥離性骨端症)が起きる
✅ 脛骨粗面に繰り返しのストレスが加わることで、骨の出っ張りや慢性的な痛みに繋がる
✅大腿四頭筋の柔軟性を高めることで、腱の牽引力が減り、炎症を抑えやすくなる。 また、体幹や股関節の筋力を高めると、膝関節への過剰な負担が軽減されるため、予防にもつながる
このように、オスグッド病は単なる「成長痛」ではなく、科学的に解明された構造的ストレスと筋肉バランスの問題です。
だからこそ、根拠のあるアプローチ(ストレッチ・運動制限・体幹強化など)が非常に重要です。
3️⃣ 専門家からのアドバイス
1.痛みが出たままの練習継続はNG! 無理をすると長期化しやすくなります。
2.成長期は骨・筋・腱のバランスが不安定な時期。柔軟性と筋力の両面からのケアが重要です。
3.保護パッドやテーピングは一時的な負担軽減に有効ですが、根本的に痛みを取るにはストレッチや動作の見直しが必要です。
4️⃣ 健康な毎日への第一歩
オスグッド病は、成長が止まると自然に軽快することもありますが、
正しいケアをすれば競技を続けながら症状を軽減することが可能です。
とくに痛みが強い時期は、「休ませる勇気」と「正しいストレッチ・筋力トレーニング」の両立が大切です。
ジュニア期のコンディショニングは、その後の競技人生にも大きく影響します。
ぜひ今日からできるケアを取り入れて、健やかなスポーツライフを送りましょう。
今後も、科学的な研究結果を基に、信頼性の高い情報をお届けしてまいります。
オスグッドでお困りの方は、ぜひ横須賀市の 「かもい名倉堂接骨院」「よこすか名倉堂整骨院」 へご相談ください。
引用文献
(1)Circi E, et al. (2017). Osgood–Schlatter disease: review of literature and update on pathophysiology. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc.
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28593576/
(2)Nakase J, et al. (2015). Precise risk factors for Osgood–Schlatter disease. Arch Orthop Trauma Surg.
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26133498/
(3)Kujala UM, et al. (1985). Osgood–Schlatter’s disease in adolescent athletes. J Bone Joint Surg Br.
Available at:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4025675/
店舗名
【浦賀院】かもい名倉堂接骨院
住所
神奈川県横須賀市鴨居2-20-8
電話番号
tel:046-844-1770
【横須賀中央院】よこすか名倉堂整骨院
住所
神奈川県横須賀市安浦町1-1冨田ビル1F
電話番号
tel:046-884-8220